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物流体制の変化に応じ鉄道利用増

アサヒ飲料株式会社

『三ツ矢サイダー』でおなじみのアサヒ飲料(株)は、清涼飲料水を製造販売するアサヒグループの一員。自社・グループ8工場と40ヵ所の工場で炭酸飲料、コーヒー、お茶などバラエティに富んだ製品を展開し、年間販売量は2億5千6百万箱に上ります。製品は工場から物流拠点へ転送し、さらに配送拠点(DC)から顧客へ届けます。同社では自社工場に限らず協力工場からも、12ftコンテナを利用しています。
 アサヒ飲料の生産・調達・物流本部物流システム部では、鉄道・船・トラック等輸送モード選択、価格や数量などは物流企画グループで決め、オーダー等日々の運用は同部の東日本物流部と西日本物流部が行います。
物流企画グループのグループリーダーは「以前からコストやリードタイムにより、500km以上の長距離に鉄道を利用していました。しかしここ3年ほど、ドライバーおよび車両不足が顕著になり、特に繁忙期はトラックを手配することが難しく、いかに波動を平準化するかが課題となっています。そこで消費地の近くにDCを設けて在庫を置き、定時で定期的に運べる鉄道輸送を活用して送り込むスタイルに移行してきました」と、物流体制の変化を説明しました。
「もともと長距離かつリードタイムに余裕のある商品はできるだけ鉄道で運ぶスタンスですが、中距離でも鉄道に頼る部分が増えてきました。またDCを設けることで得意先様への配送が短距離で済むため、トラックの回転率を上げる狙いもあります」。取材に訪れた群馬工場は、『カルピス』をメインに各種飲料を生産しています。例外もありますが、基本的には関東圏と北海道から東北にあるDC向けに商品を供給する東日本の生産拠点です。鉄道コンテナの集配は日本通運(株)が行います。

アサヒ飲料は関東の物流拠点再編に取り組んでいます。このほど群馬工場に隣接して、同社最大規模となる群馬配送センターが稼働しました。群馬工場の生産増に伴い、保管機能を向上するのが主な目的です。飲料水の荷扱いに適した鉄骨造2階建ての倉庫で、低床、高耐荷重で設計されました。倉庫床面積10,600坪の群馬配送センターは、工場の製品を保管して各地の物流センターへ転送する他、顧客への配送機能もあります。12ftコンテナやトラックで入庫する他工場の生産品を、一時保管する機能も持っています。

3社で協議し繁忙期の専用列車運行を実現
アサヒグループでは年に4回、グループの物流部長会を開くなどして、協働してモーダルシフトを拡大しています。
2016年12月3日、10日の2回、アサヒ飲料は専用列車を仕立てて年末繁忙期の輸送力を確保しました。単純な拠点間ではなく、複数の工場から12ftコンテナで集荷後、列車で大阪貨物ターミナル駅へ集め、最終的には12ftコンテナ80個を積載した1本の専用列車に仕立てて九州へ運ぶ画期的な輸送となりました(図参照)。日本通運も集荷・配達のタイミングを調整しました。JR貨物営業部では「今回の取り組みは、複数の工場から一つの列車に貨物をまとめ、週末の運休列車を復活運転して専用列車として運転する、という提案が実現に至りました。初めての試みでしたが、好評をいただきました。週末輸送力の活用に向けたモデルケースとして今後も展開していきたい」としています。
アサヒ飲料では以前から、繁忙期対策に鉄道コンテナ輸送を活用しています。近年は6月から9月の需要期に、大阪貨物ターミナル駅から直接鳥栖貨物ターミナル駅に入る列車の輸送枠を毎週末定期で購入して輸送力を確保しています。

「当社は需要が伸びていることもあり、輸送力の確保が最優先です。鉄道は一度に大量に運べ、特に長距離に力を発揮していただいています。ドライバーの高齢化を控え、これからの物流は今以上に厳しい状況になっていくでしょう。長野などトラックを手配しにくい地域で、さらにコンテナ輸送の拡大を検討したいと考えています。仙台など鉄道の輸送力を確保しにくいルートもありますが、これからも3社のパートナーシップで持続的に取り組みたい」と同グループリーダーは結びました。